RIACのビジネスセミナーに深く関わっている。コンテンツ企画、出演者交渉、当日司会、そしてプレゼン。沢山の助け手は居るけれど、手を出している領域は広がり、責任も増え、負荷は高まっている。
▼RIAC:RIAコンソーシアム: [Bセミ-XVII]
~HTML5のインパクト:Web情報発信はどう変わる~
http://www.riac.jp/2010/10/b-xviihtml5web.html
先週に書いたプレゼン手法のコラムは、自分的には、自分を追い込むためのものでもあった。さばききれないタスクの量と質。試行錯誤を重ねているのは、個々のタスクだけではなくて、その全体調和。
今、チャレンジしているのは、担うべきとされたタスクや仕事を、いかにバランスを保って回すか。量と質を引き上げたい。だから、そのやり方を工夫している。無理して、余計なことにまで口を出すのは、そもそもの性格に拠ってもいるが、少し意図して自分を調教してみている。
言った以上それなりのことをしなければならない。それには疑問符はつかない。そんなものだと染み付いている。その領域に入ったタスクは、まま処理するようになっている。だから、その領域に追い込んでみようと。火事場の馬鹿力、終電前の奇跡を信じて。
■
風呂敷を広げて書くと、クラウド以降、担う仕事が爆発的に増えている。量質以外に規模という軸も増えて、だ。それらに耐えなきゃならない。今が学び時だと思っている。Webの世界は、時間やタイミングが大きな意味を持つ。時を逸すると、二度とチャンスは来ない、ことが多い。失地回復/リカバーの機会は余程のことがない限り少ない。
規模は明らかに異なるけれど、CSS Zen Gardenの出現でテーブルレイアウトを捨てざるを得なかった時も、そんな決断だった。CSSで行かなければならない。だからそんな場を作った。当時基本的には社内タスクが主だったので、正直どちらでも誰も迷惑しない。でも敢えて厳しい道を選んだ。学び時だと思ったからだ。
▼css Zen Garden: The Beauty in CSS Design
http://www.csszengarden.com/
▼css Zen Garden:CSS デザインの美
http://www.csszengarden.com/tr/japanese/
テーブルレイアウトとsapcer.gif。慣れ親しんだ技法と考え方。捨て去ること自体に苦痛があった。巧く調整できないもどかしさ。でも、捨てて正解だった。そんな見た目で分かるフェーズから、タスク間調整という目に見えない領域での、従来手法を捨て去ることを試している。
今やっておかないと。そんな恐れが頭から離れない。この苦しさを乗り越えたとしても、安泰な道が待っていないだろうことは、経験的に知っている。Webに関わる以上、安定した期間など期待してはならないんだろう、仮にそんな期間が存在したなら、それは神様からのボーナスと考えるべきかもしれない。
走り続けることが参入の条件だったのだ。楽しげだからと足を踏み入れたけれど、それだけではない道だった。当たり前の結論を、引き帰す道もなくなってから思い知る。でも、楽しみも増している。楽しみの幅が広がった。
見栄えの美しさを求める楽しさから、構造的な美しさや、辿り着き易さと言う美に関する楽しさへ。こんがらがったパズルを解くかのような愉しみ。迷子になる路地を埋め立てて、一本道を作る。公開当時は喜ばれるが、すぐさまそれが当たり前になり、努力の量も質も威張れない。一見瞬間芸のような仕事にように見えつつ、その実日々その道で迷わなくなった人たちからは見えない拍手が届く。まさに、日常的な道路工事。感謝の言葉は届かずとも、笑って通ってもらえる道作り。
それが広がった。インフラの選定から負荷テスト、スケーリング、配置場所や冗長性。Web屋に聞くな、SIer(システムインテグレータ)に聞けよと思いつつ、五年経ったら普通に聞かれ頼られるんだろうと思える分野。総合費用を考えたいクライアントにとっては、一括で相談(発注)できる所の方が重宝するのだから、もはや不可避な道だろう。
■
道が広がるなら、車幅の広い道で対抗するのだろうと準備している。何とか自己鍛錬で、ともがいている。しかし、反省することの方が多い。
先日のセミナーも、一期一会と分かりつつ、自分のセッションを終えたところで何人かの辛口派に確認したら、一番伝わってきたのは非常に疲れているということだ言われた。そりゃそうだ。ちゃんと寝てない日が何週間も続いている。
でも、それじゃあ駄目だ。そもそも有料セミナーだ。そんな感想を持って帰ってもらっては、申し訳ない。気を取り直して司会やパネルディスカッションに臨む。百戦錬磨の論客達の前で少し緊張もしてしまった。そして、何だか空回りしている感が最後まで解けない。
でも、寝ている人はいなかったと思う。会場アンケートも8割がたの回収率で、セッションとして期待と違っていたというのは一件のみで、それが残念だったのか期待と違っていたが満足だったかは不明。もう少しこの辺を聞きたかったとか、別視点のパネラーを入れれば話しが弾んだだろうとの声がちらほら。
いつも、かなりの文字量で皆さん感想を書いてくれるのだが、今回は更に多かったように思う。twitterでも、非難は私がIE9betaを使わなかったこと(一応MSさんには先に謝っての上ですが)と電子書籍の話に広げた辺りか。いつもなら、成功にカウントする。
▼Twitter / Search - #riac
http://twitter.com/#search?q=%23riac
でも、会場は明るくなかった。HTML5というテーマが未だ先のことだという認識だったのか、それとも何か欠陥や失策があったのか。いつものように翌日からウジウジと悩む。今回は祭日(11/3)だったので、余計にウジウジ余裕ができてしまった。得るものが少なく残念な思いをされた方がいたら本当に申し訳ないと思い悩む。
あーすれば良かったのか、こーすればどうだったのか。当日ですら見せてない資料も実は用意していた。それも見せれば良かったのか。悩みは続く。願わくば、次回はもっと明るい場にしていきたい。精進あるのみ。
以上。/mitsui
ps.
想定外だったのは、IE6のシェア率の高さ。ざっと6割強。全然笑い事じゃない。HTML5どころですらないと言っても良い。かなり蒼ざめた。ベンダー側から標準の声を上げても駄目かもしれない。業界、利用者を含めたら全ネットユーザになってしまうんだけれど、業界全体で標準とは何かを考え始めないと、足を引っ張る地雷が巨大化していく予感さえする。
【日刊デジタルクリエイターズ】 [まぐまぐ!]