「“独立”する富裕層」。米国で深まっている、格差社会を越えた分断社会のルポ。もはや国なのかと思う程。でも、余り他人事ではない事態が世界中に拡散している気配もプンプンしている。
「勝ち組負け組」派の行き着く先の状況なのだろうと思う。勝った側は当然守りに入る。しかし、治安の差が広がっていき、同時に富の場所も二極化するのであれば、治安の悪い所で激闘して少しを得るよりも、一か八かのアメリカンドリームを狙う国民の気もする。だとしたら、これは過渡期で、この世の春を謳歌している最中に更なる悲劇がツケとなって、その鎌首をもたげてくるのだろう。
かつて米国は、自分たちの富を世界中にばら撒くようなところだった。良い物も悪いものも蒔いてきたけれど、余りに自分達の身を案じる方向にはブレーキがかかっていたように思う。それが崩壊しているのか。富の再分配を、我々の税金を盗むようなものだと真顔で言われると、返す言葉がなくなる。同時にあの誇りはどこに行ったんだろう、とも。誇りでは食えぬということか。米国がこうした自己防衛に徹し始めると、大分寒い冬の時代が到来しそうだ。
※)今日まで国谷さんは取材でお休み凹