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達人伝 Vol.5 :指揮官と副官、物語の裏側の流れはこれかな

信陵君と蔡要(さいよう)、王 (おうこつ)と笵束(はんそく)、趙国の賈偃(かえん)将軍とその副官、周王と閔公(びんこう)殿下、そして丹(あかし)の三侠(荘丹、無名、庖丁)。五者五様の指揮官と副官。

最初の三組の信頼感に支えられた一体感。奥まった所にふんぞり返るなどできぬリーダーと、それに翻弄されながらも時に代弁し時に策を示し従うサブ。それに比べると如何にも距離感を感じてしまう周王と側近たち。そして互いに補完し合い流れに身を任せる丹の三侠。

それらの対比は、時代に必要とされるリーダーシップの型を示しているのか。そして同時にリーダーの資質も。活きいきと戦地を駆ける彼らの、人の活かし方、人との組み方は、人を使い捨てしていく現代への警告に見える。手本を見失い、経済や効率だけを求める潮流に対する反骨。その反骨を次世代にどうやって繋いでいくのか。いかにも頼りない丹の三侠にそのバトンが渡される。渡されるバトン、そして受け取る三人。ちょっとコミカルだけれど、中心軸にブレを感じない。同じ反骨の血が流れている。

ついつい蒼天航路とくらべてしまうけれど、人と人との関わり方も、戦場の描き方も、一巡して二周目に入った安定感を感じる。特に戦場描写は、残酷さはもういいかな…というニュアンス。殺戮の重々しさは軽めに、命の消失の重さやその意味に重点が移っている。

珍しく一冊で説明不足の話が入っている。混沌の話。なんだか完結していない。でも夜な夜な響く奇音に対して、荘丹の表情がその答えなのだろうか。次号が更に楽しみ。王欣太氏のテンポ的には調度良いのかもしれないが、じらされている感が溜まってくる。作者コメントに長寿宣言が入っているが、リアルタイムに作品に接する機会があることには素直に感謝。もっと読みたい。

ps.

  • あ、あと信陵君のお怪我は左肩の気がします(左右を間違えてたのって蒼天でもなかったっけ?)。
  • Kindle版は一号遅れ、でもお安く、という戦略の模様。それはそれで理にかなっているけど、両方欲しくなる。旨いなぁw。